ちょうど昨日読み終わった、エミン・ユルマズさんの『コロナ後の世界経済』。
気になった箇所を、この記事で私的な投資の学びに消化したいと思います。
1. 世界経済はグローバル化からブロック化へ
今後自由主義経済と中国経済は時間をかけてでカップリング(切り離し)していきます
経済のグローバリズムは終焉に向かい、ブロック経済化や新冷戦へと大きく傾斜していく
新冷戦は経済的覇権を巡る争いだ
アメリカから中国への技術移転は今後、一層、難しくなる
コロナウィルスのパンデミックが、米中新冷戦を加速させた触媒(カタリスト)であるとも書いていました。
アメリカと中国の”切り離し”の一つの例として、ファーウェイのスマホにAndroidのOSが使えなくなったことが挙げられています。すると、中国は自前で開発したシステムを使わざるをえなくなる。これがOSの覇権争い、ひいては技術的冷戦に繋がっていくとのお話でした。
【私的投資への学び】
OSの一例をもとに思考を横展開させていくと、たとえば「電気自動車の米中シェア争い」「Zoomのようなビデオチャットツールの普及争い」こういったことが今後も起き、加速していくと想像できます。
また中国は、その政治体制のもと、資金面のサポートを含め、技術的発展を大きくブーストしていくことができるのでしょう(そしてアメリカとの対立という意味では国家をあげて躍起になることも想像に難くない)。
その是非はさておき、中国のテクノロジーへの投資は、個人投資家の選択肢としては大きいと感じます。
私のポートフォリオに目を移すと、テスラ(TSLA)がそれなりの比率を占めます。ではその投資のリスクの一つとは何かと考えると、中国による上海ギガファクトリーの閉鎖と考えています(そんなことがあるのか皆目わかりませんがあくまでも可能性として)。
上海ギガファクトリーでのモデル3製造キャパシティは、20万台にのぼります(2020年2Q資料による。比較として米Fremont工場では全モデルで49万台)。
モデル3が一台45,000ドルとすると、45,000ドル×20万台=90億ドル
つまり、約9,450億円。
万が一、テスラの上海ギガファクトリーが閉鎖となった場合、中国のEVメーカーに1兆円近くの売上が上がることになる可能性があります。
と考えた時に、TSLAと併せてNIOを保有するのも一つの手(リスクヘッジ)ではないかと思い、先日久しぶりにNIOを買い付けたのでした。
安直なのかもしれませんし、中国EVメーカーの米国市場からの締め出しなど別のリスクもあるのだと思いますが、一つの考え方として。
2. 約18億人を擁するイスラム世界の今後
より政教分離的な動きが中東で広がりそれは穏健派に近い感じになるはず
世界の対立軸も中東からインド太平洋地域に移るので、イスラム世界は従来よりもかなり安全になると思っていただいていいだろう。なぜなら、今後は米中冷戦で手いっぱいのアメリカは、中東諸国と対立しなくなるからだ
イスラム諸国のなかには、まだまだ成長ポテンシャルが大きい国が複数ある
エミンさんによれば、人口では世界の4分の1を占めるイスラム人口GDPは8%に留まっているため、政情が安定し平和になれば、経済が勢いづくだろうとの読みです。
この書籍では、日本がムスリムの方でも食べられるハラルフードでビジネスチャンスありということを書いてあります。
【私的投資への学び】
- アメリカが中東諸国と融和
- ハラルフードのビジネスチャンス
ときたら、米国株投資家の頭にまず浮かぶのは、ビヨンドミート(BYND)でしょうか?
(👆よくまとまっている記事でした)
政治的(国家的)な動き→世界の対立軸の変化→ある宗教人口の経済状況の変化→ビジネスチャンスといった連想の流れは、私としては学びとなるところでした。
もし、エミンさんの話すように、世界の対立軸が移っていくのなら、世界におけるムスリムの方の経済的な勢いには期待できるのかもしれません。今後世界をみる視点の一つとして、ウォッチしていきたいと思います。
ビヨンドミートはファストフード店やレストランにも卸しています。最近の新型コロナウィルスの広がりによる影響か、株価が下落気味のようです。これからインするタイミングは、気にしておく必要がありそうです。
後半の2つの章は、より具体的な株式投資の話もありましたが、敢えて地政学的な観点の論述から学びとなった箇所を引用して紹介しました。
私はエミンさんの世界情勢・世界経済まわりの話が好きです。
鳥の目(マクロ)と虫の目(ミクロ)を自由に行き来しながら見えてくる世界。
そこから見えてくる投資テーマに思いを馳せるのが、結構好きですね。面白い!
そういった視点を行き来できる、頭の筋肉が柔らかくなるような書籍でした。
エミン・ユルマズさん、ありがとうございました。