(2020年8月2日時点の記事です)
- 【ENPH】企業概要
- 【ENPH】特筆ポイント
- 【ENPH】エンフェーズ・エナジーを取り巻く市場動向
- 【ENPH】業績・決算
- 【ENPH】私的まとめ
- 【2020.8.8追記】2020年2Q決算について
【ENPH】企業概要
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設立年月 :2006年3月
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セクター分類: IT・通信 (IT & Communications)
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上場市場 :NASDAQ
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従業員数 : 577人
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ウェブサイト: www.enphase.com
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概要:エンフェーズ・エナジーは、ソーラー産業用のマイクロインバータ技術を提供する米国企業。システムの稼働時間と信頼性を向上させ、火災安全リスクを軽減し、知的エネルギー管理のためのプラットフォームを提供する。マイクロインバータ・システムは、個々の太陽電池モジュール・レベルでエネルギーを変換して、高度な技術的アプローチをもたらす(Yahoo!ファイナンスより)
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ミッション:"Advancing a sustainable future for all" すべての生物のために、持続可能な未来を推進する。
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ヴィジョン:"The world's leading clean energy solution provider." 世界を牽引するクリーンエネルギーソリューションプロバイダー
【ENPH】特筆ポイント
マイクロインバータとは?
まず、エンフェーズが取り扱っているマイクロインバータについては、こちらの記事が非常に分かり易かったです。
この記事によると、マイクロインバーターは「出力の最適化からDC-AC変換までを各パネルで実行するための機器」とのことです。私は理系ではないので、詳しくは上記記事に譲ります(汗)。従来技術の集中型パワーコンディショナーと比較して見られることが多いようです。
私的なまとめとしては、要は、
- 従来のパワーコンディショナー→個人依存型のサッカーチーム
- マイクロインバータ→自律型のサッカーチーム
のような違いがあります。その背景には、両者の違いにあります。
制御について:
- パワーコンディショナー→各パネルのインバーターの役目を担う集中制御のシステム
- マイクロインバーター→各パネルにインバーターを内蔵させた分散制御のシステム
一部のソーラーパネルに影が当たったり故障した場合:
- パワーコンディショナー→全体の太陽電池パネルの発電機能に影響が及美、結果として発電量が低くなる
- マイクロインバーター→該当部分のパネルだけ発電量が落ち、他のパネルへの影響はなく発電効率が良い
コロナショック後の、住宅用ソーラー設備需要の伸びに期待
これは個人的な見解ですが、住宅用ソーラー設備の伸びに期待しています。
コロナショックによって増えたリモートワークは、マクロ視点でみれば、おそらく完全に元の勤務体系に戻ることはないでしょう。
自宅での仕事では、PC、スマホ、電気、エアコン設備など、電力を食います。
自宅での作業がより増えたフリーランスなら、自家発電して電気代を削減したいと考えるのは必然です。
また、オフィス空間をスリムにして固定費を削減したお金を、従業員へのソーラー設備導入手当に充てる企業が出てくるかもしれません。
近年のエンフェーズ・エナジーは、住宅用のソーラー設備の提案に力を入れているので、追い風を受けるのではないか?と予測しています。
【ENPH】エンフェーズ・エナジーを取り巻く市場動向
米国の非住宅用ソーラー設備の予測
上記の表は、新型コロナウィルス蔓延前(紺色のライン)と後(水色のライン)の市場展望の差を表しています。
2020年はウィルスの影響により予測が大きく下がっていますが、2021年には大きく盛り返し、2023年には元々の予測に追いつくというレポートです。
米国の住宅用ソーラー設備市場
こちらの表は、米国の住宅用ソーラー設備の四半期毎の推移を示しています。これまで最も設置が多かったのが、2016年の第1四半期の687メガワット(MW)でした。
しかし、2019年第3四半期に、712メガワット(MW)のソーラーが設置され、過去最高を記録しました。
近年、ソーラー設備の価格下落によって、住宅用設備の記録的な成長、普及につながっているようです。
競合は誰?
最大のライバルは、ソーラーエッジ・テクノロジーズ【SEDG】です。
ソーラーエッジは、2013年時点でわずか4.5%の市場シェア(第5位)だったようですが、2019年には米国の住宅設備の60.5%を占めています。
それに対し、エンフェーズ・エナジーはシェアが徐々に減っています。
2019年では市場シェアが19.2%にとどまり、ソーラーエッジの猛追に押されている構図が見えます。
では、エンフェーズ・エナジーの業績はどうでしょうか?
【ENPH】業績・決算
2020年5月20日に行われた、株主向けAnnual Meeting(年次総会)のスライドです。
売上(評価:B)
2016〜2018年は横ばいでしたが、2019年に前年の2倍以上(前年比197%)に伸びています。
営業キャッシュフロー(評価:A)
2016・2017年はマイナスでした。
2018年にプラスに転じ、2019年は前年の8.6倍にまで伸びています。
毎年改善しているという点で、評価Aとしています。
営業キャッシュフローマージン(評価:A)
2016年 ▲10.21%
2017年 ▲9.93%
2018年 5.1%
2019年 22.27%
一般的に15%以上あれば良いと言われる中、直近の2019年はその基準を超えており、好感が持てます。ここ数年は、年々盛り返してきている傾向も見られます。
EPS(評価:A)
毎四半期でEPS増加までは行かないものの、EPSが上昇傾向にあります。
コンセンサスEPSに対して、毎四半期でポジティブサプライズを出しています。
業績まとめ(総合評価:A)
- 売上:評価B
- 営業キャッシュフロー:評価A
- 営業キャッシュフローマージン:評価A
- EPS:評価A
この結果から、私としての総合評価はAとしました。
【ENPH】私的まとめ
- 住宅用ソーラー設備の今後には期待できる
- 米国大統領バイデン氏当選の際には、2兆ドル投資?だとすると追い風(トランプ氏当選だと、一時的に下がる恐れも)
- 業界の伸びは良い
- ここ数年の業績も良い
- ただし、シェアが課題。競合のソーラーエッジが強い。どこまで食らいつけるか?
- そして、ソーラーエッジに対しての優位性はあるか?(これから分析)
- 純粋に、再生可能エネルギーは応援したい
ENPH、ごくごく少量を保有しつつ、も少し深く分析進めます。
あ、エンフェーズのHPの冒頭の映像、かっこいいので、ぜひ!
【2020.8.8追記】2020年2Q決算について
■売上(評価:C)
四半期決算、125,538(千ドル)でした。前年同期比で93.6%であること、2020年1Q比で61.1%であることから、単純な売上の評価としてCとしました。
■営業キャッシュフロー(評価:B)
四半期決算、25,431(千ドル)でした。前年同期比で172%であること、2020年1Q比で64.8%であることから、評価Bとしました。
■営業キャッシュフローマージン(評価:B)
四半期決算、20.3%でした。前年同期が11.0%、2020年1Qが19.1%、2019年通期で22.27%であることから、評価Bとしました。
■EPS(評価:B)
2020年1Qと比べてEPSは半減しています。
一方で、コンセンサスEPSに対しては、21.4%のポジティブサプライズです。毎回着実にコンセンサスを超えてきていることは評価できます。
今回はそもそものコンセンサスが低い設定なので、Q3・Q4でポジティブな実績を出せるかどうか、注目しています。
■マイクロインバータの出荷数(評価:C)
2020年2Q 108万台(前年同期比84.4%)
2020年1Q 201万台
2019年4Q 211万台
2019年3Q 179万台
2019年2Q 128万台
■その他ハイライト
・2020年Q2に、設置業者や住宅所有者がエンフェーズ製品について直接コミュニケーションを取ることができるオンラインのエンフェーズ・コミュニティを開始
・設置者や住宅所有者へのサービスを向上させるために、ヨーロッパとオーストラリアにオンラインストアを開設。オンラインへの対応を加速させているようです。
・今後1年半の間に新製品の導入を加速させる
・2020年Q3の予測売上高、1億6,000万ドル〜1億7,500万ドル
■2020年2Q決算まとめ(総合評価:B)
- 売上:評価C
- 営業キャッシュフロー:評価B
- 営業キャッシュフローマージン:評価B
- EPS:評価B
この結果から、私としての総合評価はBとしました。今回の四半期決算は、発表前日に株価が急騰しました。強豪であるソーラーエッジ【SEDG】の好決算に引っ張られたという見方が多かったです。
記憶の範囲ですが、決算発表後は、一時株価が下げたものの、上昇傾向にあります。
正直、数字上の決算としては良い印象はありません。一方で、ヨーロッパやオーストラリアでのオンライン化への対応、新製品導入の加速、2020年3Qへの数字見込みが明るいこと、を考えると、未来は明るいのではないかと考えます。
2020年3Q・4Qの結果を楽しみに待ちたいと思います。